協会案内
会長ごあいさつ
社団法人日本鋼構造協会会長
梨
晃一

新春を迎えて
明けましておめでとうございます。今年こそ我々全員にとって明るい年でありますことを切に願っております。
振りかえりますと、昨年3月の東日本大震災における大津波の大被災に加えて原発の大事故が続き、どうにもならないもどかしさに誠に憂鬱な毎日を送ることになりました。震災に遭われた方、飛散した放射能によって“普通”の生活が奪われてしまった方々に心からお見舞い申し上げます。
この未曾有の震災に対する我々の喫緊の課題は、その被災地の復興です。 私どもの協会は『新構造システム』に関わる府省連携技術開発プロジェクトの成果をいち早く日本鉄鋼連盟、新都市ハウジング協会と連携し、復旧・復興に向けての提案を纏め、公表して参りましたが、復旧が進むにつれ、新たな課題も出てきております。
震災地の復興の為には、まずあの大量の瓦礫を除去しなければなりません。可燃性のごみは徐々に東京都など近隣の自治体の施設で処理が始まっていますが、不燃性のコンクリートの“がら”は余りに大量で、現地で処理する他はありません。その方策として、再生骨材、再生セメントの技術を活用し、新たに作る護岸、堤防、擁壁への再利用が考えられますが、鉄筋を腐食させる内部に含まれ塩分への対策が必須です。
一昨年ステンレス構造建築協会と合併し、ステンレス鋼の建設分野への適用拡大の途上ですが、ステンレス鉄筋に関する過去の研究実績を踏まえ、これらの構造物への適用が考えられます。勿論、ステンレス鋼は現時点では他材料に比較しは高価でありますが、被災地の瓦礫の処理費を総合的に考えればその使用は可能ではないでしょうか。また塩害に対する鉄筋コンクリート構造物への対策として、日本海側の沿岸部の橋梁へのステンレス鉄筋の試用も始まっております。
国交省基準整備事業の一つに挙げられている『長時間継続・長周期地震動』に対処する研究事業については鋼構造を研究対象としている我々にとっては積極的に取り組み、安全な鋼構造物の実現のみならず、揺れを小さくして利用者にとって“安心”な建物を是非とも実現しなければならないと考えます。しかしながら、これらはなかなか難しい課題で、精力的な取り組みが必要と思われます。
3月の大震災に加え、年の後半には欧州の金融不安が発生し、未だに確たる対策が立てられないでいます。我が国の経済にも悪影響を与えることが心配されています。 そのような中で鋼構造関係の明るい話題は、平成24年5月に開業する“東京スカイツリー”の完成と、2月に開通する“東京ゲートブリッジ”の竣工でありましょうか。大型プロジェクトがめっきり減ってしまった中で久々の快挙で、大変喜ばしいことです。 この様に新たな鋼構造技術に挑戦すると共に、蓄積された技術を次世代に伝承して行かなければなりません。
鋼構造の製作に関わる研究として『新自動溶接技術(狭開先ロボット溶接)』を関係各学協会と共同して完成させる予定です。厳しい建設業界の環境のなか、広くグローバルな市場を求める中で活用し、良質な鋼構造の普及を目指して作成した『鋼材品質証明ガイドライン』の普及も引き続き進めて参ります。 また、過去3年間にわたり行ってきた『技術者育成講習会』をさらに発展、拡大させ、鋼構造技術の人的な基盤強化を推進し、同時に若手研究者に対する『研究助成』も継続して参ります。 これらに関してはステンレス構造建築協会と合併後作成した『第6次中期計画』に纏められておりますが、この3カ年計画を着実かつ積極的に推進する所存です。
最後に、平成25年4月には一般社団法人として新たな発足を目指しています。そのために自主・自律の法人運営を行うべく、責任と権限を明確にした運営体制を構築していきたいと考えております。
これからの当協会の活動を活性化させるためには会員各位の更なるご協力が必要です。今年も絶大なるご支援をお願いします。
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